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「ウィリー リバーの唄」 -WEARY RIVER-
◇楽譜「ウィリー リバーの唄」表紙:1929(昭和4)年
これは、映画『ウィリー リバー』(※現在は<ウィアリー リヴァー>と表記する事が多い:原題 Weary River)の挿入歌である。 前回、戦前の日本では海外の映画は約1年遅れで公開されていたと書いたが、この映画は、米国とほぼ同時期に公開されている。 1929年発行の「松竹座ニュース【7/18~7/24】〔神戸〕」には『ウィリー リバー』の予告が載っているが、下図にもあるように、松竹座のPR月刊誌『松竹座グラヒック』7月号も「ウィリー リバー」特集号になっており、いかにこの映画が当時の話題作であったのかがわかる。 楽譜の表紙にアップの顔で登場している主演のリチャード・バーセルメス(Richard Barthelmess、1895-1963)は、サイレント映画の時代に活躍したスターで、巨匠D・W・グリフィス監督作の『散り行く花』(1919年)と『東への道』(1920年)の2作では当時の大スター、リリアン・ギッシュの相手役を務めるなど、当時はとても人気があったようだ。 しかしながら、この映画についても「ヴァイタフォン式発声映画」とあるように、トーキー映画が主流の時代になると、数年のうちは多くの映画に主演したものの、演技がトーキーに合わなかったために、この後1930年代中頃には半ば引退状態になったという。 そういえば、前回にとりあげた『雨に唄えば』も、サイレント映画からトーキー映画に移りかわるこの時代の俳優の悲喜劇を描いたものであった。 『ウィリー リバー』は日本ではあまりヒットしなかったようだが、この映画を監督したフランク・ロイドは、米国第2回アカデミー賞では、『ウィリー リバー』の他『情炎の美姫』『愛の曳き船』の3本が同時に監督賞にノミネートされ、『情炎の美姫』でアカデミー監督賞を受賞している。 さて、この「松竹座ニュース」には、他に『モン・パリ(1927年)』の続編ともいえる、フォリー・ベルジェールの舞台でジョセフィン・ベーカーが出演するレヴュー映画『ダンセ・パリ』が紹介されている。 すでにジョセフィン・ベーカーは、ピカソやヘミングウェイなど同時代の作家、画家、彫刻家にとっての美の女神、大衆にとってのセックス・シンボルとなっており、まさに人気がピークに達していた頃であった。 ◇「松竹座ニュース」【7/18~7/24】〔神戸〕:1929(昭和4)年
by suzu02tadao
| 2012-10-08 11:15
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