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1920~30年代を中心に、あれこれと・・・
by 大阪モダン
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早川良雄 「パンフレット表紙 1958年」

◇第12回東京交響楽団関西定期演奏会 パンフレット表紙 1958年
早川良雄 「パンフレット表紙 1958年」_c0239137_1522780.jpg

◇ITO KAJI MORITA 3 GROUP MODERN DANCE RECITAL パンフレット表紙 1958年
早川良雄 「パンフレット表紙 1958年」_c0239137_1541697.jpg

 今回の「第12回 四天王寺 秋の大古本祭り」は、私にとっては久々に良い買い物ができた古本市であったが、特に上図の早川良雄がデザインした2点を均一台で見つけた時には、思わずガッツポーズをしたくなるくらいに嬉しかった。
 後で、帰宅してから調べてみると、「早川良雄の時代-デザイン都市・大阪の軌跡」展覧会(2002年、ATCミュージアム)の図録には、この2点の内のひとつ「ITO KAJI MORITA 3 GROUP MODERN DANCE RECITAL パンフレット表紙 1958年」が載っており、この催しのポスターも制作していたようである。

 なお、この展覧会図録の巻末には早川良雄年譜が載っており、以前、当ブログ 『広告界』 の中で早川良雄にふれたが、やはり学生時代から活躍していたことがわかったので、以下、大阪市立工芸学校時代についての年譜を抜粋してみた。

早川良雄年譜(抜粋)
1931(昭和6)年:14歳
4月 大阪市立工芸学校工芸図案科に入学
1934(昭和9)年:17歳
大阪府体育振興会主催スポーツ芸術展(学生生徒部)で佳作作品賞受賞
大阪府工芸展覧会 第10回展に入選
朝日新聞社懸賞募集の新聞広告図案で佳作賞を受賞
東京日日新聞社主催 第2回全日本学生新聞広告制作競技で佳作賞受賞
商業美術連盟主催 第2回商業美術連盟展に入選
1935(昭和10)年:18歳
大阪府産業工芸博覧会で妙技三等賞を受賞
1936(昭和11)年:19歳
3月 大阪市立工芸学校図案科を卒業


 早川良雄は、わが国のグラフィック・デザイン界の創成期-いわゆる第1世代に属する最後のデザイナーといえるが、今竹七郎などと同じように、その活動範囲はグラフィック・デザインだけに止まってはいない。
 戦後、1951年に「日本宣伝美術会(日宣美)」の創立メンバーとして活躍する一方で、同年に、画家・版画家、写真家、更には舞踊家や評論家といった芸術全般にわたる人々が参加した「デモクラート美術家協会」にも参加している。
 「デモクラート美術家協会」を代表するメンバーには瑛九、靉嘔、池田満寿夫、泉茂など、その後の日本の現代美術を切り開いた人々がおり、今回とりあげたパンフレット表紙のデザインもそういったメンバーとの交流の中から生み出されたものであるようにみえる。

 ところで、私が早川良雄デザインの演奏会パンフレットを見つけることができたのは、実は、山名文夫デザインの演奏会パンフレットを以前から探していたからである。
 山名文夫といえば、資生堂のマークなどに代表される繊細な女性美を表現したイメージのデザインがよく知られているが、数年前、下図のような演奏会パンフレットのデザインを手がけていることを知り、古本市ではいつも気にかけていたのであった…。

☆パンフレット表紙デザイン:山名文夫
 「都民劇場音楽サークル定期公演」(1957~1963年)
早川良雄 「パンフレット表紙 1958年」_c0239137_15173978.jpg

 早川良雄にしても、山名文夫にしても、第1世代に属するデザイナーの活動及び表現の幅の広さには感心するばかりではあるが、やはり、1920~30年代というモダニズムの隆盛期を経験しているからではないかと思われる。
by suzu02tadao | 2012-10-11 15:30
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