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1920~30年代を中心に、あれこれと・・・
by 大阪モダン
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松竹座ニュース『巴里の屋根の下』

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 この1931(昭和6)年の「松竹座ニュース」の表紙はロシア構成派のようなデザインですが、この号では、封切中の『嘆きの天使<The Blue Angel>』と、近日封切予定の『巴里の屋根の下<Sous les toits de Paris>』というトーキー映画初期の名作 2篇が同時に紹介されています。
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 『巴里の屋根の下』は、ルネ・クレール監督の初のトーキー映画で、前々回にふれた前衛映画のジョルジュ・ラコンブが助監督をつとめた作品です。
 フランス映画を代表する作品としても有名ですね…
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 映画の予告の中で、
〈 『モロッコ』を讃美し、『嘆きの天使』を語るものよ!
 何故『巴里の屋根の下』が三〇年度世界十傑作映画の最高位を勝ち得たかを見給へ。〉
 とあるように、この年には名作として名高い外国映画が続々と日本で公開されていたようです。
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 また、封切を記念して、『巴里の屋根の下』小唄プロローグと題した舞踊と独唱の特別公演が開催されています。
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 別紙で上図のようなチラシも挟み込まれており、裏面は好評を呼んだラウール・モレッティ作曲の主題歌で、西條八十が訳詞をつけたものが載っており、これはレコード化されたようです。
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【参考】
 楽譜「巴里の屋根の下」本譜表紙:1931(昭和6)年
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 略譜の表紙もなかなか洒落てます。
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  『巴里の屋根の下』について、淀川長治は亡くなる前に生涯のベスト・テンの一本だと讃えていたそうですが、ちょうどこの映画が公開された当時のことを次のように語っています…

〈 フランスは『巴里の屋根の下』、ルネ・クレール、これ来たんですね。

 この時びっくりしたんですね。タップ、タップ、タップで僕ら喜んでね、みんなタップを打ってたんですね。
 その時に『巴里の屋根の下』は、「ラララーン、ラララーン、ララランランランラーン、ラララー、リララー、ララリーラリー、ラララーリラー」、ああいうメロディがきたんですね。

 フランスって綺麗だなぁ、なんだろう、シャンソン? そうか、これがシャンソンか。
 綺麗なフランスの、このメロディの流れに、リボンのように流れていくこのメロディにびっくりしたんですね。ヨーロッパの、フランスの、この音楽に。
 トーキーものはそういう事をしてくれますね。

 その時にドイツがやってきたんですね。
 ドイツ、一番最初にやってきたのは、『嘆きの天使』がやってきましたね、ディートリッヒの。
 フランスの柔らかいのに対して、『嘆きの天使』の方は「フォーリン、ラヴァーゲン、ネヴァー、ウォンテッド」。なんだかいかにもドイツ語ですね。
 うーんすごいなぁと思いましたが、これはディートリッヒが出てスタンバーグが監督した作品ですから、どっかまだちょっとアメリカ的な匂いがないことはないんですね。〉

 …ということで、続いて次回はディートリッヒの『嘆きの天使』です。
by suzu02tadao | 2015-02-04 11:05
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