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大演奏会:岡崎公会堂ちょうどこの時期に大礼記念の京都大博覧会が開催されており、この演奏会も御大典奉祝となっています。 京都ストリングオーケストラは、指揮者が関西音楽界の父と言われたエマヌエル・メッテルであるところから、京大オケ(京都大学交響楽団)が中心のアマチュア・オーケストラだと思われます。 そして、同時に手にいれたのが昭和6年の京大オケの演奏会のパンフレットです。この演奏会も岡崎公会堂(京都市公会堂)で開催されています。 この演奏会のメンバーの中に、ヴィオラを担当していた朝比奈隆がいたのでした。 後援会報でもあるこのパンフレットには、演奏会の内容だけでなく、楽団の活動についても記されています。 音楽に対して真摯で厳格であったメッテルには数々のエピソードが残されているようですが、日々の活動を記した「ジンタの日記」からは、その一端が伺えます。 < 十一月二日(月) 第二十一回定期演奏会を公会堂で開く。満員の盛況なり。会後、四条矢尾政にて慰労会を催す。席上、親爺(メッテルのこと)に「何か一つ」とテーブルスピーチを求むれば、曰く「わたし怒る事よりほか何も知りません。まだあります。皮肉」と。けだし、遜辞なりと雖も、又至言ならんか。> < 十五日(月) 親爺の和声学講座第一回。聴講生十四名に達す。本日も夫人、親爺の容体を気づかひて京都迄同伴。誠心吾人を衝くものあり。七時より練習。親爺の機嫌よければ小林氏のスタデイオにて写真を写してもらふ。けだし小林氏の写真、浅井氏のレストラン、今西氏の菓子、朝比奈先輩の阪急は本職として、・・・云々 > < 朝比奈先輩の阪急は本職として >とあるとおり、朝比奈隆はこの年に京大を卒業して阪急電鉄に就職しています。 演奏会の後の慰労会を催した西洋料理レストラン「矢尾政」は、楽団の主要スポンサーであったようで広告を載せていますが、ここは今、東華菜館になっています。 もう一つの広告の「サロン・エランビタル」は、いかにも京都の喫茶店という雰囲気ですね… ところで…エランビタル(élan vital)とは、ベルクソンの哲学用語…です。 京大オケの演奏会が行われた岡崎公会堂は岡崎公園内にありましたが、『新近畿行脚』(昭和6年)では次のように紹介されています。 岡崎公園 明治二十八年第四回内国勧業博覧会がこの地に開設せられた時、買収せられたもので、同三十七年公園地に編入し、後大正三年及び五年の両度に地域拡張せられて現在参万坪。園内には各種の体育施設・勧業館・商品陳列所・府立図書館・公会堂等の設備がある。 京都府立図書館【1909(明治42)年】 そして、昭和35年に公会堂本館の跡地に建てられたのが、前川國男が設計した京都会館だったのです。 さて、次回は…岡崎公会堂本館跡地の現在を訪ねることにします。
by suzu02tadao
| 2016-02-10 11:10
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