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「村山知義の宇宙」
【左】ベルリン留学前(1921年)、【右】(1923年6月)
白川昌生編『日本のダダ 1920~1970』より 「すべての僕が沸騰する―村山知義の宇宙―」展は、村山知義の多彩な活動の足跡をたどる回顧展ということで、たいへんに見応えのあるものだった。 展覧会図録を見ているだけでも楽しいが、関連する資料をいろいろと取り出してきて、改めて眺めてみるのも楽しい…。 展覧会及び図録でもふれているが、村山知義は当時のファッション・リーダーでもあり、そのおかっぱヘアや服装はまさに時代の先端を行っているものだった。 ◇1925年当時の村山知義夫妻(1926年6月発行の『婦人公論』に掲載された写真と記事) 夫婦同頭 こんな例に、いやしくもわが新芸術運動の大家を借りてくる事は失礼かも知れないが、男と女とが形の上に於いて次第に接近してきつつある事を示すために村山知義、同籌子(かずこ)夫人の御夫婦を借りてくることにする。 習慣で何とも思わないものの、今のように女が髪を結ったり男が髪を切ったりしたのもその初めは変なものだったに違いない。さすれば、男が長髪にし、女が断髪にするのも、今でこそ異様に見えるが今に不思議でも何でもない時代が来るのかも知れない。「変な恰好なものを頭に戴いていた時代もあったのね。」などと云って笑う時代がそれも近い内に来ないとも限らない。そういう時代が来れば、さしあたり今の丸髷などはさっそく珍奇博に出品されるはずのものだが、男女の区別を頭の形で見分け慣れている地方の人などは、未だに異様の思いをされることであろうと思う。 どっちが男? どっちが女?―などと言って騒ぐほど、これなどは見分けのつかないこともないが、肩まで布団を被った寝姿などを想像したら、ちょっと戸惑いそうにも思う。―それに、今に性質までが変わってこないとも保証できないから、そうしたら、男も女も同じようなのが出来上がるような時が来るかも知れない。 モダンボーイ(モボ)とモダンガール(モガ)の出現には、その当時の文化の大衆化及び都市化といった現象が背景にあったという。 ◇「モダンガールとモダンボーイ」細木原青起【1928(昭和3)年】より 男?女?モガは髭が欲しかろう? モボは乳房が欲しかろう? おれ達の銀座だと言わんばかりに幅をきかして歩くモボとモガかな。 ◇「モガ子とモボ郎」田中比左良【1929(昭和4)年】より さて、時代の最先端を行く前衛芸術家として出発した村山知義はその後、プロレタリア芸術運動として演劇活動を中心に活躍し、1957(昭和32)年4月に新劇代表団として中国を訪問しているが、雑誌『テアトロ』の9月号には「周恩来会談記」、10月号には「園遊会・潮劇・話劇」を掲載している。 尚、この『テアトロ』の表紙の装丁は勅使河原蒼風である。
by suzu02tadao
| 2012-05-11 10:35
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