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1920~30年代を中心に、あれこれと・・・
by 大阪モダン
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「雨の中に唱ふ -Singin' in the Rain-」

◇楽譜「雨の中に唱ふ」表紙:1930(昭和5)年
「雨の中に唱ふ -Singin\' in the Rain-」_c0239137_1634213.jpg

 入手した時には、まさかこの楽譜の曲が、ミュージカル・スターのジーン・ケリーが土砂降りの雨の中で、タップダンスを踊りながら歌う「雨に唄えば」と同じ曲であるとは思わなかった…。
 そう、映画史に残る名シーンで歌われていた、あまりにも有名なあの曲である。

【参考】Singin' in the Rain ジーン・ケリー - YouTube

 上図の表題に<ハリウッドレビュウ・中の主題歌謡>とあるように、1929年に製作・公開されたMGM映画『The Hollywood Revue of 1929』で用いられて以降、この曲はアメリカではスタンダード・ナンバーになっており、それを、1952年に主題歌にして製作・公開したのが、ミュージカル映画の傑作として知られる『雨に唄えば』なのだという。

 この曲には下記のような訳詞がつけられており、日本ではビクターレコードから発売されていたようだが、歌手が誰であったのかなど詳しいことはわからない。

◇「雨の中に唱ふ(Singin' in the Rain)」 <訳詞:平野富士夫>

 雨の中に 歌をうたうよ
 さはやかな 私の心
 くらい空 気に止めぬ
 陽(ひ)の光は この胸に
 烈(はげ)しい雨に 人も去る
 さあおいで この胸に
 手をとって 歌をうたはう
 ふたり 雨の中に


 ところで戦前の日本では、海外の映画は約1年遅れで公開されており、この楽譜が発行されたのと同じ1930年の「松竹座ニュース【3/20~3/26】〔道頓堀〕」には、MGM映画『The Hollywood Revue of 1929』は、邦題『ホリウッドレヴュー』となって近日封切映画として紹介されている。
【※注】日本語表記の場合はハリウッドの場合も、ホリウッドの場合もあり、この楽譜でも表題ではハリウッドとあるが、他の表記ではホリウッドとなっている。
「雨の中に唱ふ -Singin\' in the Rain-」_c0239137_1627198.jpg

 <メトロ社の名優、ことごとく綺羅星のごとく、そろい踊り唄う現代の万華鏡!>とあるように、『ホリウッドレヴュー』はMGMのオールスター顔見世映画として製作されたものであった。

 さて、この楽譜の装丁デザインの作者(Hサイン)は誰なのかはわからないが、この『ホリウッドレヴュー』が紹介されている「松竹座ニュース」(下図:左)をはじめ、他の1930年発行の「松竹座ニュース」表紙デザインと楽譜には共通する特徴が見られる。
 どうも、垂直線と水平線に円形を組み合せたスクエアな画面構成を基本とする抽象表現がこの年の流行りだったようである。

「松竹座ニュース」1930年
【3/20~3/26】、【1/7~1/13】
「雨の中に唱ふ -Singin\' in the Rain-」_c0239137_16344252.jpg

「松竹座ニュース」1930年
【1/7~1/14】、【7/3~7/9】
「雨の中に唱ふ -Singin\' in the Rain-」_c0239137_16352328.jpg

by suzu02tadao | 2012-10-05 16:50
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