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1920~30年代を中心に、あれこれと・・・
by 大阪モダン
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装飾の快楽 <大阪市中央公会堂>

装飾の快楽 <大阪市中央公会堂>_c0239137_16485096.jpg
 前回は街角のオブジェということで、これらについては観る者が勝手に想像力を働かせてイメージをふくらませることが楽しいわけですが、いわゆる様式建築の装飾には、設計者をはじめその建物に関わった人々のメッセージが込められていて、そこにある意味や気持ちといったものを読み取ることも、なかなか楽しいものです。

 大阪を代表する様式建築である大阪市中央公会堂の正面の大アーチの屋根には、創建当時の人々が大阪の発展に願いをこめた、商業の神「メルキュール」と、科学と平和の女神「ミネルバ」の像があります。
 これらの神像は戦時の金属供出で長い間失われていましたが、保存・再生工事の際に復元されました。
装飾の快楽 <大阪市中央公会堂>_c0239137_16501388.jpg
 この建物の装飾についての見どころといえば、館内にある天井画・壁画やステンドグラスなどの方が有名ですが、外観も子細に見ていくといろいろと楽しめます。

 正面玄関の外灯の柱にあるライオンの装飾もなかなか秀逸です。
 百獣の王ライオンはメソポタミアやエジプトの古代より守護獣として扱われていたそうです。
装飾の快楽 <大阪市中央公会堂>_c0239137_16505058.jpg

 ネオ・ルネッサンス様式を基調としつつ、バロック的な壮大さを持ち、細部にはウィーン分離派様式も取り入れられていて、まさに様式の大饗宴といった趣ですね。
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装飾の快楽 <大阪市中央公会堂>_c0239137_1654581.jpg
 ひとつひとつを見ると、凝りに凝った意匠がされており、それぞれが別の様式のようにも感じられますが、組み合わせると不思議と調和していますね…
装飾の快楽 <大阪市中央公会堂>_c0239137_1656216.jpg
 赤レンガと白い御影石で構成されたバロック調の堅牢な雰囲気の中で、庇の装飾がけっこうチャーミングなところが私は好きです。
装飾の快楽 <大阪市中央公会堂>_c0239137_16563288.jpg

 館内では、あまり目立ちませんが階段周りもなかなか凝っています…
装飾の快楽 <大阪市中央公会堂>_c0239137_16571348.jpg

 さて、昔から中之島公会堂と呼ばれて大阪市民に親しまれてきた大阪市中央公会堂ですが、集会施設としてコンサートやオペラ、各種の講演会が催されてきており、アインシュタインやヘレン・ケラーなどの歴史的人物の講演も行われていたようです。
 大正9年11月末に、直木三十五をはじめ、宇野浩二、芥川龍之介、菊池寛などの小説家が中之島公会堂で講演会を行ったことは以前にもふれましたが、直木三十五は亡くなる一年前の昭和8年4月26日にも講演会を行っています。
 下図はその時のもので、その下は直木の最後の小説作品「私」の原稿です。
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by suzu02tadao | 2014-11-07 17:10
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