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1920~30年代を中心に、あれこれと・・・
by 大阪モダン
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芦屋風景

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 芦屋という処へ住んで二年になる。先ず気候は私たちの如くほそぼそと生きているものにとっては先ず結構で申分はない。そして非常に明るい事が、私たち淋しがり屋のために適当しているようだ。

小出楢重「芦屋風景」(『めでたき風景』)より
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 小出楢重は1926(大正15)年に、生まれ育った大阪を離れ、南仏ニースを思わせる芦屋に移り住みました。
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 私は散歩する度びに南仏を思い出すのである。
 それで随分風景を描く場所も従って多く、風景画には不自由を感じないように思える訳でもあるけれども、それが事実はさようにうまく成立っていない処が、南仏と芦屋との悲しい相違である。


 芦屋には南仏で生い茂っているオリーブの林もなく、古風な石造の家が連なる風景もありませんでした。
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 でも私は、あまりいい天気の日に、何かたまらなくなって、カンヴァスを携げて山手の方へモチーフをあさりに行く。そしてその度びに何か腹を立て、へとへととなって疲れて帰ってくる事が多いようである。
 その腹立ちを直すために、神戸へ出かけて、ユーハイムの菓子でコーヒーをのみ、南京街で新鮮な野菜を求めて帰ってくる。
 私の絵に静物や裸女が多くなるのもやむをえない影響であるだろう。


 芦屋市立美術博物館には小出楢重のアトリエが復元されています。
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「紅茶がいい?日本茶がいい?」
「どっちでもいい。何かお菓子のうまいのはないですか。」
「西洋菓子なら、ここにユーハイムのがあるわ。」
「それで結構。人の食うのをただ見ていたってつまらんからな。」


谷崎潤一郎『蓼喰う虫』より
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 すぐ隣には谷崎潤一郎記念館があります。
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 阪神芦屋駅に向かってブラブラ…
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◇芦屋警察署旧庁舎玄関(1927年建築)
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by suzu02tadao | 2015-11-10 14:40
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