人気ブログランキング | 話題のタグを見る

1920~30年代を中心に、あれこれと・・・
by 大阪モダン
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31


ロイ・リキテンスタイン

◇Two Paintings: Dagwood(1983年)
ロイ・リキテンスタイン_c0239137_13304844.jpg

 以前に『週刊朝日』に掲載されていた「ブロンディ」を紹介しましたが、アメリカの新聞に連載されて大人気だったこの漫画を、ポップ・アートを代表する作家のロイ・リキテンスタイン(1923-1997)が、作品にしていない筈はないと思って探してみたら、やはり、ありました…
 が、「Two Paintings: Dagwood(ふたつの絵画:ダグウッド)」と題されたこの作品は、1960年代の初期のものではなく、1983年制作のものでした。

 初期の作品では、個人的には新聞広告をモチーフにした、「Girl with Ball」のような、なんとなく…ほんわかした作品が好きなのですが…

◇Girl with Ball(1961年)
ロイ・リキテンスタイン_c0239137_13322974.jpg

 リキテンスタインは、安いペーパーに印刷されて流通する「大量消費財」として当時人気のあった「ラヴ・コミック」と呼ばれた恋愛漫画や戦争漫画などの劇的なシーンの一コマを拡大して描いた作品で、ポップ・アートの旗手として華々しくデビューしました。

◇Vicky(1964年)
ロイ・リキテンスタイン_c0239137_1334165.jpg

 一見、漫画をそのまま写したように見えますが、大胆な構図と強烈でシンプルな線、単純化された色彩のドットで再構成された画面は完成度が高く、アンディ・ウォーホルがこれらの作品を見て漫画をモチーフにすることをあきらめて、キャンベル・スープ缶の作品をつくったのは有名な話です。

 一時期、世間を騒がせた作品「Girl with Hair Ribbon(ヘアリボンの少女)」が、白と黒以外は赤・青・黄の3原色のみで構成されたモンドリアンの「コンポジション」シリーズへのオマージュであったように、リキテンスタインはモダン・アートの申し子であったとも言えます。(モンドリアンがセザンヌの息子だとしたら、リキテンスタインはセザンヌの孫と言えますね…)

◇Girl with Hair Ribbon(1965年)
ロイ・リキテンスタイン_c0239137_1336718.jpg

 そして、現代の大衆消費社会を象徴する、このシンプルな線と単純化された色彩のドットという手法で、絵具をぶ厚く塗った筆跡(ブラッシュストローク)などのアイロニカルな作品や古今の巨匠の名画を再解釈したり、静物画や風景画など、様々なモチーフをまさにリキテンスタイン流に料理していったのでした。

◇White BrushstrokeⅠ(1965年)
ロイ・リキテンスタイン_c0239137_13365479.jpg

 1980年代になると、その当時、注目を集めていたストリート・アート風の表現を取り入れたような作品をつくり始めますが、冒頭の「Two Paintings: Dagwood(ふたつの絵画:ダグウッド)」はその典型的な例と言えます。

 NY生まれのリキテンスタインの作品には、都会人らしい洒落、ナンセンスなどの遊びのセンスがあふれていて、江戸時代の浮世絵師や戯作者と共通するものを感じます。

◇Imperfect Painting(1987年)
ロイ・リキテンスタイン_c0239137_13391215.jpg

by suzu02tadao | 2016-02-01 13:45
<< 「相互タクシー 北新地のりば」... 様々なクラルテ(光明) >>