1920~30年代を中心に、あれこれと・・・
by 大阪モダン
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
以前の記事
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
more...
お気に入りブログ
ヴォーリズを訪ねて
近代建築Watch
レトロな建物を訪ねて
Books & Things
モダン周遊Ⅱ
最新のコメント
福田様 返事が遅くなり..
by モダン周遊 at 21:34
初めまして。ペンギン飼育..
by 福田道雄 at 20:44
そうですね… 後、フェ..
by モダン周遊 at 11:30
この界隈 ビルが急ピッ..
by 雪だるま at 05:32
須藤しげるは大正から昭和..
by モダン周遊 at 18:27
須藤しげるって初見なので..
by karan_coron at 13:23
ここは元から通りの幅が広..
by モダン周遊 at 11:23
通りの真ん中が駐輪場 ..
by 雪だるま at 05:49
中之島辺りと違い、 工..
by モダン周遊 at 14:25
大阪には多くの橋がありま..
by 雪だるま at 09:25
メモ帳
最新のトラックバック
シャガール、ピカソ、マテ..
from dezire_photo &..
シャガール、ピカソ、マテ..
from dezire_photo &..
マルモッタン・モネ美術館..
from dezire_photo &..
美は幸福を約束するものに..
from dezire_photo &..
【姫路の老舗映画館が消え..
from ジョニー暴れん坊デップの部屋
個性的なビルがいっぱい:..
from 本読みの記録
ライフログ
検索
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


佐伯米子 <帰りたい風景>

c0239137_15593104.jpg

 水上瀧太郎の小説『倫敦の宿』(昭和10年刊)の装幀は、ちょっと凝ったもので、帙のようなハードカバーの見開きには、まるでヴァン・ドンゲンの作品を思わせる妖艶な女でありながら、どこか清純な雰囲気が漂う、軽妙なスケッチ風の絵があって…

 誰だろうと思ったら、佐伯米子でした。

c0239137_15562017.jpg

 佐伯米子(1903-1972)は早世の天才画家として知られる佐伯祐三の妻で、夫と共にフランスに渡り、ヴラマンクに師事。「アルルのはね橋」がサロン・ドートンヌに入選するなどしましたが、夫・祐三と娘・彌智子がフランスで相次いで亡くなると帰国。
 その後は二科会展に出品し、戦後は、二紀会の同人となり、三岸節子らと女流画家協会を創立して活躍しました。

c0239137_15561236.jpg

c0239137_15560649.jpg

 洲之内徹は帰りたい風景 気まぐれ美術館の中で、佐伯米子の絵について次のように述べています。

 とにかくこの数日、私は佐伯さんの絵の爽やかで楽しく、優しい印象で、不思議に安らいだ気持の中にいる。生き返ったような心地である。

 この時の絵は佐伯米子が郷里の吉浦へ帰っていたときに描いたものでしたが…

 また風景の話になって、吉浦の風景だってただ懐かしいばかりじゃない、何か、本物の風景は別にあるのだという気がしてならない、と佐伯さんは言うのだったが、それを聞いて、私は、佐伯さんの風景の懐かしさは、その、眼の前にあるのとはちがう帰りたい風景への懐かしさなんだなと思った。これが佐伯さんの風景なのである。

 佐伯米子は戦後もフランスに渡り、そのときのパリ風景の素描の作品展を洲之内徹の「現代画廊」で開いていますが、昭和28年の雑誌『』6月号にはチュルリー公園の詩人と題して、佐伯米子が絵と文を載せていました。
(以下抜粋…)

c0239137_16532141.jpg

 ふとみると一つの樹蔭げの椅子に老人が、ただ一人ぽつねんと物思いにふけっていました。黒いそまつな服を着たそのおじいさんは詩人でした。
 次の日に私共はオペラにゆこうとして同じ公園の入口の辺で、ばったりまた、昨日のおじいさんにあいました。その時老人は大そううれしそうに、あいさつして、一つの手紙をわたされました。
 いそいでいたので、そのままわかれて、ダルソンヴルや、マルゴ・ホンテーンの出演するオペラに、かけつけました。
 帰りもおそかったので、そのまゝわすれていて、翌日になって、食事中にふとおもい出して、その手紙をとり出して、みましたら、それは日本の女――、私のためにつくって下さった、美しい詩でございました――。


c0239137_15555374.jpg

[PR]
by suzu02tadao | 2017-06-21 07:00 | Comments(0)
<< 大阪セルロイド会館 中之島図書館でランチ… >>