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大正ロマン<額装日本画>

◆村上華岳「静物」
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 皿の上にあるのは李(すもも)だろうか…
 それにサクランボがさりげなく添えられている…

 図版はモノクロでどんな色なのかは分からないけれど、一見すると平凡な静物画で、華岳もこういう絵を描いていたのか…と意外に思ったものの、子細に見てゆくと、代表作といわれる仏画や山水画とも共通する奥行のある深遠な表現になっていて、特にサクランボの軸のしなやかな筆づかいなどは簡単に見えて、ちょっと真似のできない表現だと思う…

 村上華岳(1888-1939)は京都市立絵画専門学校を卒業後、文展で特選になるなど活躍しましたが、文展の審査のあり方に疑問を抱き、同窓の土田麦僊や野長瀬晩花などと共に国画創作協会を設立、西洋美術と東洋美術の融合による新たな絵画の創造を目ざしました。

 「静物」は国画創作協会の他の仲間たちが渡欧する中、持病の喘息が悪化したために渡欧を見合わせて、その当時住んでいた京都の自宅で静養しながら描いたものではないかと思われます。
 その後、晩年は少年時代を過ごした神戸市花隈に移りますが、その場所は、前回取り上げたモトコーの北側になり、今でも旧居跡の石碑があるようです。

 学生時代に華岳の「裸婦図(下絵)」を初めて見た時の衝撃は忘れられません…
 私はそれまで華岳を知らなかったのですが、明治以降の日本で、しかも因習的と云われた日本画家の中に、このような凄い絵を描く人物がいたことにショックを受けたのでした。
 それにしても、重要文化財になったのは、作品としては劣る「本画」の方なのは、なんででしょうね・・・?

 この「静物」は、京都市蛸薬師烏丸東にあった「土井撰美堂」の大正11(1922)年のカタログ(図録)に載っていたものです。

 カタログは去年の京都知恩寺の1冊200円・3冊500円のコーナーにあったもので、掲載作品は全て不鮮明なモノクロの図版ではあるものの、価格表が付いていたので興味を惹かれて手に入れたのでした。
 ちなみに、この「静物」は 90円です。

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 カタログに載っている絵は、それほど大きなものではなく、どれも二尺(約60cm)くらいですが、その中で一番高額なのは、やはり竹内栖鳳の作品でした。

◆竹内栖鳳「南園禽語」 650円
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 上村松園の美人画も人気が高かったようです。

◆上村松園「虫音」 585円
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◆富田渓仙「奈良の秋夜」 185円
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◆橋本関雪「欧州所見」 85円
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◆菊池契月「婦」 220円
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 そのほかにも、石崎光瑤、井口華秋、林文塘、西山翠嶂、堂本印象、川村曼舟、川北霞峰、玉舎春輝、都路華香、植中直斎、山元春挙、小村大雲、榊原紫峰といった京都画壇を代表する作家の絵が掲載されています。

 今では額装の日本画は一般的なものですが、カタログの表紙には「洋額面式応用」とあって、大正時代に洋風の生活が広まる中で、中流階級であったサラリーマン層の和洋折衷住宅の応接間や居間に合うように、それまでの掛け軸から、値段もサイズも手ごろな、このような西洋風に額装された日本画が求められるようになったのだと思われます。

 現代に比べると、特に美人画では掛け軸の表装の面影が色濃く残っていて、最初は私も違和感を覚えたのですが、逆にその辺が日本独自の額装としてのオリジナリティもあって、また大正時代の華々しさも感じられるので、これもなかなかいいんじゃないかと思います。

 さて、今では「土井撰美堂」はないようですが、かつて店舗があった京都市蛸薬師烏丸周辺を訪ねてみると、大正時代に建てられたモダン建築も残っていて、今も大正ロマンの香りが漂っているようでした。

 次回はその辺りを取り上げてみます…
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by suzu02tadao | 2017-07-27 07:00 | Comments(0)
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