1920~30年代を中心に、あれこれと・・・
by 大阪モダン
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ボート・ガールは招く

『旅の友』1930(昭和5)年8月号
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 以前にも紹介したことがある趣味の旅行雑誌『旅の友』ですが、モダンな表紙は同じく杉本健吉のデザインです。

 夏といえば海ということで、「モダン風景 -ボート・ガールは招く-」と題して蒲郡海水浴場が紹介されていました。

 「ボート・ガール」は、喜多壯一郎監修『モダン用語辞典』(1930年刊)によれば、〈 三十年型の新職業として生まれた職業。ボート・ガールと云ふのは、一時間のボート遊び一円で、娘さんがオールを握ってお相手もすれば、お望みで海水着で水泳のお相手もするといふモダン職業娘。と解説されています。

蒲郡の海をいろどるボート・ガール
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 ヂャバッ!テン/\/\/\とオールは水滴を走らせて再びヂャバッ!軽快な艇身はグッ/\と浪乗り越えて進航します。
 「フレー/\」涼しい浜風に乗って聞えて来るのは、他のボートに居る、サービス嬢からの音信です。
 「フレー/\、千鳥さん!」我が舟からの返信です。
 「二人で、泳ぎッこしませうか。」
 と云へば、彼女は終いに人魚にもなります。
 ~(略)~
 で、あちらでも、こちらでも海の人気者は嬉々と夏の恵みに浴して遊んで居ります。
 そして蒲郡の浜はさながら、海の銀座になりました。
   ラッシュアワーに
   拾った薔薇を
   せめて、あの娘の
   思ひ出に・・・・
 と云ふ行進曲は、たゞ陸だけのメロデーではない。ピッタリ、此処蒲郡海水浴場にも摘要出来るものであります。

 当時の大ヒット・ソング『東京行進曲』の一節が紹介されていますが、蒲郡海水浴場ではボート・ガールのサービスの他にビールとお菓子付で1円50銭になっており、まさにエロ・グロ・ナンセンス時代の世相を象徴するような語り口で、他にも富田浜のSeaとSheと」では…

 「波なんて随分SKね」
 「なぜ・・・・」
 「くちびるをぬすみに来るじゃないの」
 「君は開放主義者だからさ・・・・もっと沖へこいよ・・・・さ。」
 「わたし心配だわ、しみるんじゃない・・・・」
 「何が・・・・一体海の中迄ケープ着て来る奴あるかい。」
 「だって・・・・ないんだもの」
 「とるんだよ」
 「・・・・・・・」
 で、僕は与へられたチャンスを完全につかまねばならぬ。
 「こいつあ海のオキテさ」
 「ないんだから・・・・」
 彼女の足はタコの様にからみつく、そして次の瞬間潮だらけになったフタリである。
 「さあ、とるんだ。」
 「・・・・あのね、ほんと言うと、ズロースないの・・・・」
・・・・オヤ・・・・ナルホド・・・・

 これらは「避暑地ナンセンス」と題された特集記事の抜粋ですが、こんなバカバカしくて軽薄な内容の記事が、一般向けの旅行雑誌に載っていたとは…ビックリですね!
 まァ他には、「避暑地では相当な家庭の子弟に見せかけた偽大学生の誘惑にだまされないよう、女学生は御用心!」というような真面目な?記事もありましたが…
 
 このような時代を謳歌していたモボ・モガの人たちにとってみれば、その後の戦争へと突入していった時代を「暗黒時代」と言いたくなるのも、確かに分かるような気がします。

【参考】


 その他、海外でも話題になっている当時のモダンガールたちの雄姿です…

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by suzu02tadao | 2017-08-20 08:00
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